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2025.04.15

久しぶりの読書にオススメ|手軽に読める文芸誌「GOAT(ゴート)」第1号の特集は愛。

こんにちは、ブルックスタッフの熊田です。
本日は最近ハマっている、 2024年11月に創刊された新しい文芸誌『GOAT(ゴート)』について。

「お手頃で面白そうな本」を探している時に知人が教えてくれました。名前のインパクトと510円という遊び心のある価格(ゴート=510)にも惹かれつつ。文芸誌というとちょっと敷居の高い印象もあったけれど、この本は表紙もデザインも軽やかで「読んでみようかな」と自然にワクワクしてきます。「GOAT」という名前の由来は、紙を愛する“ヤギ”と、“Greatest Of All Time(史上最高)”の頭文字からきているそうです。読んでみると、名前にも込められた「かつてない紙の文芸誌を作りたい」という編集部の想いが伝わる素敵な一冊だったのでご紹介します。短編集や短いエッセイなどが詰まっているので、本を読むこと自体が久しぶり、という人にもおすすめです。

第1号の大特集は「愛」、サブ特集は「手紙」

読み始めてみると、「愛」というテーマの幅広さが面白く、読んでいて全然飽きない。自分が「好きだなぁ」と思う作品もあれば、「んー?これはどういうこと?」と考え込んでしまうようなものもあって、雑誌を読むような感覚で、パラパラと気になるところを気負わずに読めるのがいいです。

最初に読んだのは、西加奈子の「ディヴィアン」

49歳の働く母が主人公で、16歳の娘とおそらく海外で暮らしている設定。
心穏やかに瞑想をして、意見はしっかり言って、親や娘の愚痴にも耳を傾け、病気とも向き合って強く生きている・・理想的な人。その主人公を見つめる「ディヴィアン」という存在の語りで構成されていて、その目線が絶妙で面白い。高尚な理解で困難を乗り越えていく主人公に、静かにツッコミを入れてくる感じ。読んでいてクスッと笑えて、でも急に刺さったりもする。ラスト3ページは特に良くて、私は大好きです。読み終わった後に「あっけない温かさ」に包まれるような気持ちになりました。
私もその一人ですが、頑張って生きてしまっている人(あえて「しまっている」と言いたい)に、読んでみてほしいと思いました。

次に読んだのが、小川哲の「嘔吐」

若手女性作家とそのファンのおじさんの話。
物語は「おじさんという理由でサイン会の会場に入れてもらえなかった」という出来事をきっかけに、そのおじさんが出版社に抗議のブログを投稿するところから始まります。そこから先は、その後のブログや過去のブログなど、ブログ投稿を読むような構成で進んでいくのですが、現代的で面白い。「画面越しに一人で一方的な解釈がどんどん膨らんでいく怖さ」を感じながら、ふと「あれ、私ってこのおじさんみたいに考えることあるかも?」と気づいてしまいました。おじさんの不安定さはどこか、現代の人の不安定さと似ている気がします。この話を読んだ後「勝手な解釈や深掘りは控えよう。」という難しい目標を立てました。(目標自体をわすれそう笑)

詩では、大崎静夏さんの「会いにいく」が印象的だった

恋人でも家族でもない「わたしたちなりになってみようと決めた」という言葉のチョイスがいいなぁと。しみじみ。まわりから見たらどこにも分類されない、本人たちは「わたしたち」なりに成り立っていて、それでいいじゃんっていう、孤立の心地よさと言うのでしょうか・・。私自身「わたしなり」も「わたしたちなり」も多い人生だと思うので、表現のひとつひとつがすんっと入ってきて心地よかったです。

あと、読者特典の“遊び心”もすごく良かった!

本の途中に読者特典のページがあるんですが、目次にもなくて、普通に読んでいたら急に「そんな特典あるんだ!」と出会う感じで。しかも「締切:5月31日」。いや、5月31日にここまでにたどり着けなかったらどうなるの…?って笑ってしまった。でも逆に言うと辿り着いた人だけが嬉しい特典でした。遊び心がステキです!

紙媒体からデジタルへと移行していく流れの中で、そのど真ん中みたいな仕事に関わっているからこそ、私は「あえて人に会うこと」「手書きで伝えること」「紙にこだわること」など、手間やアナログ的なことを大切にしたいと思っていて、そんな気持ちから「栖(すみか)」という場所も始めました。
栖ホームページ:https://sumika56.jp

紙が好きな“ヤギ”がモチーフのこの文芸誌は、そんな私にとってすごく刺さる一冊でした。やっぱり本は、紙で読みたい。(若者よ、おばさんって言わないでー笑)

まだ3割ほどしか読めていないけど、これからもじっくり楽しみます。6月4日には第2号も出るとのこと。次号も楽しみにしています!何より、GOATをつくってくれた皆さんにお礼を言いたい。ありがとうございます。
(長く続いてくれると嬉しいな〜。)

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